コラム

マッツファン必見の映画『残された者-北の極地-』 極限のマッツ・ミケルセンを観察しよう

2019/06/23

©Bleecker Street

【微ネタばれ有】

極限の状況とは、どんな場所を指すだろうか。宇宙空間やジャングル、砂漠の真ん中等で取り残されれば、間違いなく極限の状況と言えるだろう。今回紹介する作品の舞台 “北極” で1人取り残されるという状況も、もちろん誰もが認める極限の状況と言える。

“北欧の至宝” と呼ばれるマッツ・ミケルセン主演の日本未公開映画『残された者-北の極地-』(原題:Arctic)は北極でサバイバルをする男の物語だ。

本作は極限の状況に置かれた、マッツ・ミケルセンをただ観察し続ける映画だ。世界で一番イケてるおじさまであるマッツでも、極限の状況をスタイリッシュに切り抜けることはできない。

泥臭く生き抜くマッツ・ミケルセンの姿を見ているだけで胸が熱くなっていく名作で、米ガーディアン紙をはじめ、彼の最高の演技を賞賛するコメントが複数寄せられている。

今回は日本未公開である『Arctic』を幸運にも鑑賞する機会を得た私が、本作の見所を紹介しようと思う。

北欧の至宝 マッツ・ミケルセン

まずは、この作品で主演を務めたマッツ・ミケルセンについて軽く紹介しよう。

マッツ・ミケルセン(本名:Mads Dittman Mikkelsen)は、デンマークのコペンハーゲンで1965年11月22日に生まれた。元は体操選手、ダンサーとして活躍していた。1996年『プッシャー』で映画デビューをする。俳優デビューは30歳を超えてからであり、キャリアとしては遅咲きと言える。

2004年に『キング・アーサー』でハリウッドデビューを果たした。2012年には『偽りなき者』に主演し、カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞する等、卓越した容姿だけではなく実力も兼ね備えた俳優である。

『007 カジノ・ロワイヤル』のル・シッフル、『ドクター・ストレンジ』のカエシリウス、ドラマ版の『ハンニバル』のハンニバル・レクター等、数々の作品で彼が演じる悪役の危険な香りにメロメロになった方も多いだろう。

183㎝の高身長でスタイル抜群、息をしているだけでセクシーを振りまくようなマッツだが、オフの時にはジャージ姿というギャップを魅せている。それがまた好感度を上げてしまうという、なんとも羨ましい男だ。

海外映画やドラマ好きが、ナイスミドルやイケてるおじ様(イケオジ)を想像する際、マッツ・ミケルセンの名前は必ず挙がる。

試しにGoogleで「イケオジ」で画像検索すると、一番目にマッツ・ミケルセンの画像が表示されるところを見ると、今世界で一番ホットなイケオジはマッツ・ミケルセンで間違いないだろう。(2019年6月現在)

2019年11月8日発売予定の、小島プロダクションの新作ゲーム『デス・ストランディング』では、モーションキャプチャーと声優を務め、ゲームにも活躍の場を広げ、更に幅広くのファンを獲得するだろう。

そんな世界中の人類を魅了するマッツは、本作でひたすら辛い役柄を演じている。

ひたすら可哀想なマッツ

©Bleecker Street

本作は、北極(Arctic)でマッツがサバイバルをする映画だ。北極で不時着したパイロットのマッツが、孤独の中で何とか助かろうとする姿を観察し続ける映画である。本当にそれだけの映画で、セリフもほとんどない。

98分の上映時間のほとんどが彼の一人芝居で進行する。ただただ辛いマッツを観察し続けるだけの作品だ。

今作でのマッツの状況を軽く紹介しよう。

  • 救難信号を送り続けるマッツ
  • 白熊に襲われるマッツ
  • 派手に怪我をするマッツ
  • 穴に落ちるマッツ
  • ジャケットを燃やすマッツ

困難な状況をサバイバルするマッツだが、彼には途中から同行者が加わることとなる。美しい女性なのだが、彼女は瀕死の状態で合流する。辛すぎるぞ、マッツ。

唯一の同行者は瀕死

©Bleecker Street

物語の途中に出会う瀕死の同行者は名前もわからない異国の女性である。瀕死の状態でコミュニケーションすらままならない。

彼女の登場からストーリーが動き出すこととなる。彼女を必死で看病するマッツの姿を見ていると目頭が熱くなっていく。もしもマッツに看病されるなら瀕死の状態に陥りたいとすら思う女性もいるのではないのだろうか。

そんな彼女が言葉を発するシーンがある。ただシンプルな一言だが、そのシーンで私は涙してしまった。その感動は実際に鑑賞して味わっていただきたい。

ただひたすら辛いマッツを観察し続けるこの作品でも、マッツ萌えポイントはしっかりを抑えられている。

あなたもマッツ沼に目覚める

©Bleecker Street

本作はマッツファン向けムービーであると同時に、マッツファンを量産するような映画だ。私はマッツのあまりの美しさに同性ながら畏敬の念を抱いている。遭難したマッツは髭まみれで、綺麗な身なりとは言えないのだが。

生きているだけで人々を魅了してしまう彼は、必死にサバイバルをしているだけでもかっこいい。上記の「ひたすら可哀想なマッツ」挙げたように、かっこよくないはずのシーンでも、マッツなら絵になってしまう。

そして、今作最大のマッツ萌えポイントは、大きな鱒を釣り上げた時に喜ぶ姿だ。この人ほんとに碌に食事もさせてもらえないまま撮影したのかと思うような喜びに、マッツファンはキュンとしてしまうだろう。

北極で孤独なサバイバルという、決して派手とは言えない映画で、日本の劇場で上映が予定されていないことは仕方がないというのが私の正直な感想だが、本作は間違いなく良作だ。

マッツの演技に、多くの言葉を必要としないストーリー。それに北極というシチュエーションの美しさと絶望感を存分に味わうことができる本作を、1日も早く日本でも鑑賞できる日が訪れることを願ってやまない。

【2019年7月11日追記】

『残された者-北の極地-』という邦題が付けられ、2019年11月8日(金)に日本での本作の公開が決定した。

本作の日本公開を願ってこの記事を執筆した私にはこれ以上ない程嬉しいニュースだ。是非とも劇場で大いなる自然にいたぶられるマッツを見届けていただきたい。

公開決定に加え、マッツ・ミケルセンが「ハリウッド・コレクターズ・コンベンション」のために来日することも決定した。

本作の公開前ではあるが、北欧の至宝と写真が撮れるこの機会を見逃す手はないだろう。

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