コラム

カタカナ表記が変なハリウッド俳優・女優たち

2019/06/19

© 2016 Warner Bros. Entertainment Inc.

「セェヴィンエレヴィン」という単語が何を指すか分かる方は、一体どのくらいいるだろうか。

これは、アメリカ人の友人が筆者に送った日本語のメールで “セブンイレブン” と言いたくて記されていた単語だ。

私の関西弁も解すほど日本語が堪能な彼だが、唯一カタカナ表記にだけは苦戦していた。セブンイレブンが謎の文字列に変わるくらいなのだから、彼の苦労は日本人の想像を絶するものなのだろう。

ネイティブの英語話者は本物の発音を知っているのだから、カタカナ表記も正確にできる……というのは幻想で、発音形態が全く異なる言語間で表記だけを変えるというのは、決して容易なことではない。

カタカナ表記というのは日本語のネイティブに最適化された表記法であるため、往々にして元となる言語の話者が想像だにしない発音に変換されてしまうのだ。

もちろん人名とてカタカナ表記の犠牲になり得る。本稿では今をときめくハリウッド俳優・女優の中から、筆者が「え?そのカタカナ、変じゃない?」と思った事例をいくつか紹介しよう。

マシュー・マコノヒー(Matthew McConaughey)

© 2012 Warner Bros. Entertainment Inc.

まずは簡単なものからいこう。

『マジック・マイク』のワイルドでセクシーなマシュー・マコノヒーの姿を覚えている方も多いだろう。

ホットでセクシーでワイルドという天に恵まれた容姿でありながら、『マッド』『ダラス・バイヤーズ・クラブ』などでは類稀なる演技力を披露している。

そんな彼は、「マコノヒー」というなんとも親しみやすいカタカナ表記をされることが多いのだが、実は「マコノヘイ」の方が英語での発音に近い。

また、彼の特徴であるテキサス訛りを考慮すると、少し気怠げに「マコノヘーイ」と言えば完璧だ。

マーゴット・ロビー(Margot Robbie)

©Allstar/Beagle Pug Films

これは英語圏の「Margot」さん全員に言える話なのだが、最後の t は発音しないことがほとんどだ。

つまり、マーゴットではなく「マーゴ」の方が元の発音に近い。

マーゴ・ロビーの名を挙げたのは、彼女が今最もアツいマーゴさんだからだ。

オーストラリア出身の彼女は『アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜』で銀幕デビュー。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『スーサイド・スクアッド』などのハリウッド大作でも、主役を凌ぐほどの存在感を発揮している。

カーラ・デルビーニュ(Cara Delevingne)

©BBC Films

マーゴ・ロビーと同じく『スーサイド・スクアッド』に出演していたカーラ・デルビーニュは、イギリス出身のファッションモデルだ。

『アンナ・カレーニナ』で女優としてのキャリアを始めてから、『ペーパータウン』『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』などにも出演している。

「デルビーニュ」というカタカナ表記は、おそらくフランス語での発音に近いものを当てているのだろう。

だが、英語圏での発音は「デラビン」に近い。英語は英語で、どうやったらそう読めるんだ、という発音であることは否めないが。

この “フランス語読みなら〜” というのがかなり曲者で、その最たる例が次に挙げる女優だろう。

メリッサ・ブノワ(Melissa Benoist)

©Warner Bros. Television

ドラマ『スーパーガール』の大ヒットにより一躍スターダムにのし上がったメリッサ・ブノワ。

『セッション』での可哀想なヒロイン(?)役も演じていて、「え、ジャズってメリッサ・ブノワを天秤にかけてでも極めたいものなの?」と観客に衝撃を与えたことも、記憶に新しい。

彼女の名字のカタカナ表記「ブノワ」はフランス語読みから来ているとされているが、本人曰くフランス語読みだと「ベンワー(優雅に)」が近い。

だが、彼女の母国アメリカでの発音をカタカナ表記にあてると、「べノイス」が最も正確だろう。

ただし、本人を含めたべノイス一家は「ベノイスト」と、最後の t まで発音するそうだ。

ジェイク・ギレンホール(Jake Gyllenhaal)

© 2014 The Weinstein Company.

『遠い空の向こうへ』のような人間ドラマから『ナイトクローラー』といったサイコスリラーまで幅広い演技力を持つジェイク・ギレンホール。

アイルランド系の名字なので、英語でも “難読名” とされているが、彼の活躍により徐々に認知度が高まってきているようだ。

日本でも最近は英語の発音に近い「ジレンホール」と表記されることが増えてきたため、今更ここで言及するようなことではないかもしれない。

だがこの名字の本来の発音をこちらの動画で確認してもらいたい。

アイルランドでは「イーレンヘーロ(テンション高めに)」と発音するそうだ。このテンションの高さをどうカタカナに落とし込むことができよう。

ギレンホール氏は冗談好きなため、どこまで本気か分からないが。

おまけ: シアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)

©Universal Pictures

さて、英語圏でも難読名があることを紹介したところで、最後に「むしろカタカナの方が分かりやすい」という例を紹介したい。

ギレンホール氏と同じくアイルランドの名前だが、シアーシャ・ローナンはカタカナ表記の恩恵を受けている名前だろう。

正確には「サーシャ」が最も近いが、Saoirseというスペルから分かる通り、とてもそんな発音だとは思えない。

英語圏の空港などで「ソーシー」や「サオーセ」など好き勝手に呼ばれることが多い、とコメントしていたくらいなので、むしろ日本の方が正解に近い発音が広まっている。

カタカナ表記が一概に悪いとは言えないことを示す、という良い例だろう。

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そうた

編集を担当。ホラー映画やサスペンス映画など、暗めの映画が好き。『ジャーヘッド』を愛しすぎてHD DVDまで買ったものの、再生機器は未購入。山に籠って薪を割る生活を夢見ている。

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