「映画館で観たかった」を叶えられるシアタースペースに行ってみた

私はいつか富豪になったら映画館を買ってやろうと思っている。夢の映画館を手に入れたら観てやろうと目論んでいる映画のリストだってどんどん増えてきている。

好きな映画を映画館で観たい、と願望を抱くのは映画好きなら当たり前のことだ。劇場の大画面や音響、何より映画館の雰囲気は映画をより楽しむための重要な要素なのだ。Blu-rayやNetflixなどで観て「何で映画館で観なかったんだろう」と苦い思いをするのは、誰しもが通る道と言っても過言ではない。

とはいえ既に上映が終わってしまった作品を映画館で観るには、それはもう色々なハードルを乗り越えなくてはいけない。最も難関なのが経済的ハードルだろう。かと言って簡単に借りられるイベントスペースだと雰囲気が損なわれがちだ。映像や音響の設備が整っていないことだってある。

そもそもこんなことで悩んでいる私が富豪になれるわけがない。あぁ「映画館で観たいリスト」を消化するのは今世では叶わないのだろうか……。

と、映画館で観たい欲に取り憑かれて悶々としていた私に声をかけてくれたのが、浅草のレンタルシアター「Theater SPROUT」の方だった。話を聞いてみると、かなりリーズナブルな値段で映画館さながらのシアタースペースを借りれるらしい。

あれ、もう富豪になる必要ないやん。

Blu-rayを持っていくだけ

Theater SPROUTの方に「映画館みたいな環境で好きな映画を観れますよ」と言われ、「あ、夢ってこんなに簡単に叶うんだ」と思わざるを得なかった。だってホントに何でも良いんですよ。もう住みたい。

Theater SPROUTで映画を観るにあたって用意しないといけないのは、Blu-rayもしくはDVDのみ。DVDはもちろん、フルHD（通常のBlu-ray）だけでなくUHD（4KのBlu-ray）にも対応しているので、手持ちの物を持っていくか、レンタルすれば準備は万端だ。

ちなみに私は自宅で優に50回以上は鑑賞している『ジャーヘッド』のBlu-rayを持参した。本作について話し始めると長くなるので、別の記事で改めて紹介しよう。

気になる料金だが、1時間1.5万円……映画1本が2～3時間だとすると、3～4.5万円となる。少し高く感じるかもしれないが、施設的には30人まで座ることができる。「この映画を観たい！」という同士を10人も集めれば、手が出ない値段ではなくなるだろう。

【割り勘した場合の料金例】

そしてその値段分の価値は絶対にある、と言いたい。というのも、プロジェクターの力で異常に画が美しく映るのだ。

165インチのスクリーンは映画館に比べれば小ぶりかもしれないが、なにせ席と画面が近い。目いっぱいに画が広がるため、映画館に負けずとも劣らない迫力が出る。

そして何より、プロジェクターの力で画が非常に美しく映るのだ。映像の鮮明さは言うまでもないが、特筆したいのは黒の綺麗さだ。暗い部分はきちんと暗く、そして黒く映るのだ。一度観たことがある映画でも「あぁこのシーンは、本来はこういう色だったんだな」と新たな気付きすら生じる。

※フルHDのプロジェクターでの話で、UHDのプロジェクターでは暗い部分が少し明るめに見えてしまう。だが画質自体はUHDの方が鮮明なので、見比べるのも面白いかもしれない。

あとこれは完全に個人的な話なのだが、強度の近視である私は、眼鏡を掛けているとはいえ遠くの物をはっきりと見られるわけではない。実は映画館でも場所によってはボヤけて見えてしまうのだが、画面が近いTheater SPROUTでは隅から隅までくっきりはっきり見えた。

そんな事情もあり、正直そこらへんの映画館よりも画質が良く見えた。ニッチかもしれないが、近視の映画好きは共感してくれるはずだ。

また、音響もドルビーアトモス7.1.4chのスピーカーが設置されている。詳しくはドルビーのサイトを見てもらえればと思うが、要は天井スピーカーまで搭載されたサラウンド環境ということだ。銃声などの低音も重く響いて、体の芯にずっしり来る。

『ダンケルク』なんか観たら、さぞ怖いだろうなぁ……。

最後に付け加えておきたいのは、Theater SPROUTなら「マナーの悪い客に気分を害されることがない」という点だ。そりゃそうだ、一緒にレンタルスペースを借りた人しか同じ空間に居ないのだから、心置きなく映画を楽しめる。

全員静かに見るのも良し、応援上映っぽく声援を上げながら見るのも良し。

個人的には、「私的ベストシーンプレゼン」なんてイベントっぽいことをやってみても面白いと思う。というかやりたい。みんなで語りたい。

シアタースペースには珍しくカフェが併設されているので、そこでつまみを買ってシアター内に持ち込むこともできる。

『ジャーヘッド』には「俺達はテント内をサーカスに変えた。そうすれば邪魔者は入って来ず、誰も傷つかずに済むと思ったんだ」という名台詞がある。Theater SPROUTはまさにそのテントになり得るのだ。

同作を観ていない人には意味が分からないだろう。安心してほしい。別の記事で語るから。

Theater SPROUTの人に聞くと、シアタースペースの用途は映画鑑賞以外にも色々あるという。HDMIケーブルで出力できることなら大概のことはできる、というわけだ。自主制作映画の上映やプレゼンはもちろん、ゲームだってできるらしい。

最高のプロジェクターと音響があるのだから、ここでゲームやったらもうゲーマー冥利に尽きること請け合いだ。にわかゲーマーの私だって、考えただけで鳥肌が立つ。「映画館でプレイしたいゲームリスト」も作っておくか……。

話を映画に戻すが、映画好きと「映画館で観たい！」という願望は切っても切れない存在だ。友達数人とスペースを貸し切って映画を観る……なんて夢が、すぐそこ（浅草）で叶うのだ。

いつか映画館で……と思っている読者の方は、是非一度Theater SPROUTの公式サイトをチェックしてみて欲しい。

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