映画相談所は、編集部へ寄せられた人生相談に、映画を紹介しつつこたえるコーナー。普段からふざけたことばかり書いているライターのそうたが、いつになく真面目な顔で皆さんのお悩みに答えます。
相談「バイト先の上司のことを好きになってしまったが本人に言い出せません、どうしたら良いでしょうか?」(21歳、女性)
どうもこんにちは。このコーナーって真面目に答えないといけないんだ、と今更ながら驚いてしまったそうたです。
今回もまた色恋絡みの相談ですね。「本当にどうでもいいのにな」と頭の中では考えつつ、仕事と割り切ってそれなりの解答をひり出していきたいと思います。
それは恋ではなく憧れ
年上の頼れる存在って、いつでも恋の的になりますよね。バイト先の社員さん然り、家庭教師の先生然り、他社のやり手営業マン然り。でもこれって、「憧れ」が恋心の土台になってると思うんですね。
新米バイト一兵卒からすれば、歴戦の猛者である社員様は落ち着いていて、テキパキ仕事のできる格好良い存在であること山の如しでしょう。ただ、この憧れが永遠に続くかと言われると疑問が残ります。
例えば自分が、死線を何度も潜り抜けた頼もしいバイトリーダーになった姿を想像してみてください。果たして社員さんはまだ憧れの存在でしょうか。
憧れの対象が憧れの対象たり得なくなったときに何が起こるのか。憧れの成れの果てを、『ジェシー・ジェームズの暗殺』で確かめましょう。
タイトルがネタバレなのでもう隠すことは何もないのですが、平たく言えばアイドルオタクが憧れのアイドルを殺すまでの物語、といった感じです。
ただしこの映画の場合アイドルオタクもアイドルもどっちもおっさんです。なので余計気持ち悪いですし、下手なホラー映画より怖いです。アイドル的な立ち位置にいるブラッド・ピットと一緒に晩飯食いたくねーな、と思わせるような圧巻のシーンもある映画です。
妙な週刊誌に恋愛沙汰を取り上げられ、結果として殺害予告を受けるアイドルなんかを見ているとわかる通り、憧れの人の素性を知って幻滅してしまう事なんていくらでもあります。
でも、その人が本当はどんな人なのかを知らないうちは恋とか愛とか語れませんよね。
憧れは憧れのまま終わらせるのも良し、歩み寄り素性を知って尚慕い続けるも、銃を抜くのも良し。ただ、例によって警察沙汰になっても自己責任でお願いします。