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ムートーの恋路を邪魔し続けるハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』

2019/05/19

© 2014 Legendary Pictures Funding, LLC and Warner Bros. Entertainment Inc.

【ネタばれ有】

私は元々ゴジラシリーズに疎く、ゴジラ、キングギドラ、モスラ、がイメージできる程度の知識しか持ち合わせていない。

2019年5月31日(金)に『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の公開が予定されている。映画館でそのポスターを見かけた時に、子ども心がくすぐられるかっこよすぎるポスターに、私は胸をときめかせた。

調べてみると、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』はレジェンダリー・ピクチャーズ制作の怪獣映画シリーズ「モンスターバーズ」の3作目だということを知った。それならば、シリーズの一作目から予習をする必要がある。

ということで、今回は「モンスターバース」シリーズの第1作目である、2014年の公開の『GODZILLA ゴジラ』(原題: Godzilla)を、ゴジラ初心者が鑑賞した。

しかし、この作品はゴジラよりも敵であるムートーが大暴れしまくっていた。

本作の敵、ムートーとは

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本作の悪役は、これまでのゴジラシリーズに登場したキャラクターではなく、ムートーと呼ばれる独創的なモンスターだ。

「Massive Unidentified Terrestrial Organism」(未確認巨大陸生生命体)の頭文字をとって、ムートーと呼ばれている。

蛹から羽化するため、昆虫のようなモンスターのデザインとなっている。三角形の頭で、大小合わせて計4対8本の肢を持ち、オスには飛行能力が備わっている。

巨大で強力、そして凶暴なムートーは人間をなぎ倒しまくり、古代では使うことがあったのか疑問が残る、電磁パルス攻撃を備えている。

太古の時代から目覚めたこのモンスターは、原子力発電所の放射能を餌にして成長した。蛹の状態で地震を起こす等、厄介極まりないこのモンスターは、鳴き声を上げ続けていた。

そう、求愛のため、メスのムートーに声をかけ続けていたのだ。

ムートーの生涯を描く

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本作は、ゴジラをタイトルが付けられているものの、ムートーの登場シーンの方が多い。ムートーが羽化し、食事をして、パートナーと子を成すまでのドキュメンタリーと言っても過言ではないだろう。

フィリピンで卵から孵ったオスのムートーは、日本の原子力発電所で蛹になり、エネルギーを蓄えて遂に成体へ成長した。途中でハワイに立ち寄りながらも、愛おしいメスに会うためアメリカの西海岸をひたすら目指すのだ。

私は、映画を観るにつれ段々とムートーを応援していることに気が付いた。とても厄介なモンスターではあるが、地球でたった一対のカップルとはロマンティックではないか。

ゴジラを観たいはずが、ムートーのラブストーリーが気になってきた。しかし、恋路には邪魔がつきものである。

ムートーの恋路を邪魔するゴジラ

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ムートー達の地球規模の恋路を阻むのは、人間とゴジラである。

人間にとってのムートーは歩く災害だ。ムートーが歩き回るだけで街が破壊されるし、電磁パルスで大規模停電が起こる。捕食を目的としない殺戮を繰り返すムートーは駆除しなければ人間はあっさり滅んでしまうだろう。

ゴジラにとってのムートーは、太古からの因縁である。体内に原子炉のような機構を持つゴジラは、ムートーにとっては格好の餌である。ゴジラに卵を産み付けるという習性を持っていたムートーは、ゴジラにとって遺伝子レベルで憎むべき相手なのだ。

ゴジラはムートーの存在に気付いてから、60年ぶりに姿を現してムートーを排除するために追いかけまわす。ゴジラは登場してからほとんどのシーンで海を泳いでいる。人間から攻撃されても意に介さず、ムートーを追いかけ続けるゴジラの姿からはただならぬ執念を感じ取ることができる。

一方、その頃のオスのムートーはというと、人間から奪い取った核弾頭をメスにプレゼントして、感動的なキスシーンまで披露している。

60年の眠りを邪魔された挙句、宿敵がイチャイチャしているとなれば、ゴジラの心中も穏やかではないだろう。その怒りを発散させるためのゴジラの攻撃は容赦なかった。

ムートーの最期

ゴジラさんは、ハワイから泳いでそのままムートーに闘いを挑む。メスのムートーを押し倒しては圧倒的質量で踏みつける。

ムートーカップルの連携に苦戦するものの、人間がムートーの卵を焼き払うことで、ムートーの連携が崩れてしまう。ムートーにも母の心があるのだろう。ここまでムートーを見守ってきた私としては複雑な心境だ。

しかし、ゴジラのショータイムは凄まじい。オスは強力な尻尾攻撃で一撃。メスに至っては、口をこじ開けてその中に放射熱線を直接ぶち込む。

ムートーの首から下がぼとりと落ちてしまう、壮絶な最期だ。

ゴジラの容赦ない決着で、ムートードキュメンタリーの感動は見事に消え失せてしまった。

何だったんだ、あの気持ち悪い生物は。

やっぱりゴジラが一番

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巨大な恐竜とは、やはりロマンだ。圧倒的な質量に、たくましい尻尾、それに光線を吐く戦闘力。ごつごつとした黒いシルエットがかっこいい。

今作でのゴジラは、ずんぐりむっくりしたデザインで愛嬌もある。リアルな巨大トカゲのようでもあるが、かっこいいだけではなく、泳ぐ姿が可愛らしいのだ。

圧倒的な力で、目的のみを達成するアグレッシブな姿勢。ムートーのような厄介者を排除して、雄たけびを上げてから海に姿を消すゴジラは、間違いなく本作の主役だった。

2019年5月31日(金)に公開される『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では、ムートーのように訳のわからない色恋モンスターではなく、キングギドラ、モスラ、ラドンが登場する。

本作のかっこよさと可愛さの両方を持ったハリウッド版ゴジラが、モンスターの王としての覇権をかけた闘いが繰り広げられるのだろう。これ以上に容赦のないゴジラの戦闘が楽しみで仕方ない。

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