【ネタばれ無】
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(原題: Godzilla: King of the Monsters)が、2019年5月31日(金)に日米で同時公開された。
本作はレジェンダリー・ピクチャーズ制作の怪獣映画シリーズ「モンスターバーズ」の3作目であり、ゴジラはもちろんのこと、モスラ、ラドン、キングギドラまでハリウッドで大暴れするということで注目されている作品だ。
モンスターバースシリーズの第1作目である2014年の『GODZILLA ゴジラ』では、正直もっとゴジラを観たいという思いから物足りなさを感じていた。しかし、本作では前作より数段スケールアップした怪獣たちの激しい戦いを楽しむことができる。
怪獣ファン必見の本作の見どころを紹介しよう。
あらすじ
2014年のゴジラとムートーの対決から5年。未確認生物特務機関「モナーク」により、巨大生物達の存在が確認された。政府は巨大生物達の排除を、モナークは共生を主張して対立していた。
そんな中、ゴジラとムートーの戦いに巻き込まれて息子を亡くしたマーク・ラッセルは、妻のエマと娘のマディソンと距離を置いて暮らしていた。
エマは、怪獣達とコミュニケーションを取るために「オルカ」という機械を開発する。「オルカ」を使って幼虫のモスラを落ち着かせることに成功するもの、その現場はジョナ・アレンというテロリストの襲撃を受ける……。
王の座を巡る怪獣の戦い
本作の見どころは、なんといっても怪獣達が繰り広げる壮大なバトルだ。前作でのゴジラとムートーの戦いとは違い、今作では怪獣界のカリスマであるモスラ、ラドン、そしてキングギドラもスクリーンで大暴れをする。
蛾なのにあまりにも神々しい美しさに見惚れてしまうモスラ。獰猛でアクロバティックな飛行能力を持つラドン。3つの頭に2本の尻尾、巨大な翼を持つキングギドラ。そして、怪獣の代名詞とも言える、怪獣王のゴジラ。
圧倒的な質量でスクリーンを埋め尽くし、人類では手の出しようが無いほどの破壊力を見せつける。彼らの羽ばたきが、闘いが、そして光線が、そのすべてが人智を超越している。予告編で渡辺謙が「我々がペットになるのだ」と話しているが、その言葉の意味が痛いほどわかる。
恐らく今までの怪獣映画でも類を見ないほどのパワーと桁違いな破壊の連続には、誰もが興奮し胸が躍るだろう。
気合いの入った演出
本作は日本で生まれたゴジラリスペクトに満ちた作品だ。前作からも言われているが、日本のゴジラの造形を踏襲しつつ、高い映像技術でハリウッド感もプラスしたゴジラのデザインは高い評価を得ている。
本作で登場するモスラ、ラドン、キングギドラのデザインもかっこよく、カリスマ怪獣としての威厳をまざまざと見せつけてくれる。
ラドンやキングギドラの登場シーンもド迫力で目を見張るものがある。しかし、ゴジラとモスラには日本人なら誰でも知っているあのテーマが使われており、神々しい姿と共にあの曲が流れると鳥肌が止まらない。
そして、ゴジラの鳴き声も私達日本人に馴染み深い、あの鳴き声が復活している。他にもファンには懐かしい兵器や、過去作でのオマージュも盛り込まれている。そんなゴジラ愛に満ちた演出に加え、キングコングにも繋がるシーンが散りばめられている。
気合いの入りまくった演出を是非、劇場で楽しんでいただきたい。
人間ドラマには期待しない方が良い
ここまで絶賛してきた本作だが、人間ドラマには正直不満がある。
矮小な存在である人間が振りかざす正義等、怪獣たちとっては興味も無いのではないだろうか。いち観客としても、人間側のキャラクターの行動にはあまり共感ができない。
怪獣達は人間のことなど気にせずに、好き放題暴れまわっている。恐らく地球や人類のことを考えて戦っているのではなく、純粋な闘争に興じているだけだ。敵対心や縄張り争いという本能的な戦いに、善悪は存在しない。
すべて人間が中心という考えに違和感を持ったのは私だけではないだろう。あと、ハリウッド作品は相変わらず放射能を舐め過ぎだ。
しかし、我らが渡辺謙の活躍には注目していただきたい。彼は本作の怪獣を除いたキャラクターの中で一番の活躍を見せる。胸が熱くなる彼の活躍は、本作の最大の見せ場と言っても過言ではないだろう。
まとめ
本作はモンスターバース2作目の『キングコング: 髑髏島の巨神』に続き、「これが見たかった」と言える怪獣同士の圧巻のバトルを十分に楽しませてくれた。
モンスターバース4作目、次回作の『ゴジラVSコング(仮)』は2020年に公開が予定されている。
ゴリラ好きである私はコングの勝利を願いたいところだが、本作でゴジラの実力を存分に見せつけられたため、コングに勝ち目があるのか不安になる。
ゴジラに挑むには、コングは『キングコング: 髑髏島の巨神』から、かなりの鍛錬と成長が必要だろう。光線と尻尾のゴジラと、肉弾戦と投擲力のコング。どれだけ激しい戦いが待っているのか、楽しみで仕方がない。