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『女王陛下のお気に入り』綺麗な薔薇に釣られがちな私

2019/02/17

© 2018 - Fox Searchlight

【ネタばれ無】

2019年2月15日から、『女王陛下のお気に入り』(原題:The Favourite)が日本で公開された。

18世紀初頭、フランスと交戦中のイングランドを舞台に、女王のアン(オリヴィア・コールマン)の寵愛を取り合う2人の女性を熾烈な争いを描く宮廷ドラマだ。

第91回アカデミー賞10部門にノミネートされている本作は、英国アカデミー賞やゴールデングローブ賞を始めとして、多くの賞を受賞している。

今年の賞レースの目玉である本作では、出演する女優たちの演技が絶賛されている。

綺麗な薔薇には棘がある。私も綺麗な女優さんが出演しているとなると、ほいほい映画館に釣られる愚かな蜜蜂である。今回は、美しくそして恐ろしい演技を見せた女優たちを紹介しよう。

オリヴィア・コールマン

© 2018 - Fox Searchlight

我儘で寂しがり屋なアン女王を演じるのは、オリヴィア・コールマンだ。私は彼女の出演した作品をまだ1作品しか観たことがない。

トム・ハーディが車の中で電話を掛けまくる映画『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』で、一夜の過ちにより妊娠したトム・ハーディの相手役をしている。

その時には声だけの出演だったため、彼女が演技をしている姿を観るのは今回が初めてだ。

彼女は、心が子どものまま大人になったような我儘な女王を見事に演じ切っている。特に彼女は、表情の機微による演技が絶妙だ。

予告ではしたたかな2人の女性に翻弄される役のように見えたが、鑑賞してみると彼女はただ巻き込まれるだけではない。彼女の圧倒的な存在感は女王だから、というだけではないと感じるだろう。

レイチェル・ワイズ

© 2018 - Fox Searchlight

美しく冷酷な女官長のレディ・サラを演じるのは、『ナイロビの蜂』でオスカーに輝いたレイチェル・ワイズだ。彼女のプライベートでのパートナーは、セクシー過ぎる眼鏡の外し方で話題のダニエル・クレイグである。

誰もが認める美貌と演技力を持つ彼女は、国を左右する権力とそれを実行する決断力を持っている女性を演じている。女王アンの幼馴染であるレディ・サラは、女王に対しても容赦がない。

時に冷酷な視線を見せ、時には優しい表情を見せるレディ・サラ。彼女を見ていると、どこからどこまでが本心なのかが読めず、観客の私まで翻弄されてしまう。

もしも彼女のような女性が身近にいるとしたら、私は心臓がもたないだろう。

エマ・ストーン

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没落した貴族のアビゲイルを演じるのは、エマ・ストーン。オスカーを獲得した『ラ・ラ・ランド』で彼女に魅了されたファンも多いだろう。

話題作に引っ張りだこな彼女は、最もホットな女優の1人と言っても過言ではない。

スクリーン越しでも吸い込まれそうなくりくりな目に、ハスキーボイスというというギャップが魅力的な彼女。私は、彼女の出演する映画は必ずチェックしてしまうくらいファンである。

アビゲイルは上流階級に返り咲くため、アン女王の寵愛を受けようと画策する。優しい女性のアビゲイルが周りの人を利用しながら小悪魔へと変貌していく様は、本作の見所である。

感想

音楽や衣装も素晴らしいのだが、今作の見所はやはり、女優たちの演技だ。終始息を飲む程の圧巻の演技が続き、その緊張感を最後まで楽しむことができた。

本作は優雅な宮廷劇ではなく、シニカルで腹黒い女同士の争いが見られる。嫉妬や権利への欲求というのは本当に恐ろしく、同時に傍から見たら滑稽なものだ。

どこまでが実話か不明だが、実在した人物をモデルにしている。「歴史は繰り返す」と言うが、日本社会でも、会社や学校での派閥争いというのがある。

人間の本質は別の国の別の時代でもそう変わりはないのだろう。

小悪魔なエマ・ストーンが見たくて鑑賞した本作だったが、小悪魔どころかもっと恐ろしい人間の本性を垣間見た。でも、そんな棘が見えていてもエマ・ストーンのような女性なら、私は簡単に手玉に取られるだろう。

美しい女性の魅力に抗える程、私は賢くなれないのだ。

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