コラム

トルコ人に聞いた、おすすめの名作トルコ映画 5選

2020/02/08

【ネタばれ無】


アジアとヨーロッパをまたぐ国であるトルコは、イスタンブールのモスクやカッパドキアの奇岩等、エキゾチックな観光地が魅力的だ。トルコへ旅行へ行ったことのある人から、トルコには親日家が多く、街中でよく声を掛けてくれたという話を聞いたことがある。

1889年にエルトゥールル号という外交船が国交を結ぼうと日本へやって来た。悪天候のため、帰りに沈没してしまった際に日本人が救助をしたという出来事があった。そのことはトルコの教科書に載っている程に有名な話で、日本に好意的な印象を持っているトルコ人が多いそうだ。

日本と縁が深いトルコだが、トルコ映画となると完全に私の守備範囲外であった。だが幸いにも、トルコ人の友人達からおすすめのトルコ映画を教えてもらう機会があったので、皆さんにも紹介していこう。

※私が鑑賞できていない作品も含まれるため、あらすじは友人達から聞いたものを基に、海外サイトの情報を使って補完している。実際のストーリーと齟齬があるかもしれないが、ご了承いただきたい。

父と息子

©Avşar Film

2005年に制作された『私の息子』(原題:Babam ve Oğlum)は、トルコ人の友人達が口を揃えて「涙なしに見れない名作」としておすすめしてくれたヒューマンドラマ映画だ。

本作は1980年にトルコで発生した「9月12日クーデター」という、軍事クーデターを題材としている。トルコは1970年代後半より政治テロやインフレに政情不安続いており、軍がクーデターを起こした。そのため、1983年までは軍事政権下にあったという過去がある。

政治的に不安定な情勢の中、父親の反対を押し切って左翼系ジャーナリストになった主人公のサディクは「9月12日クーデター」の夜に妻を亡くしてしまう。長期に渡る拷問と懲役を経て、サディクは息子と共に年老いた父親の住む故郷へ帰る。サディクの父と息子を通して、クーデターを経た後のトルコが描かれている。

トルコの歴史について学びながら、秀逸なヒューマンドラマにも浸れる本作。トルコでは大ヒットし、国民的な映画となったらしい。

☆Netflixで視聴可能(2019年8月現在)

ブレイブ・ロード~名もなき英雄~

©Dijital Sanatlar Production

最近のトルコ映画だと、2017年に制作された戦争ドラマ『ブレイブ・ロード~名もなき英雄~』(原題:Ayla)も感動的で忘れられない作品らしい。

舞台は1950年の朝鮮戦争。国進軍として従軍した軍曹のスレイマンは、戦場で戦災孤児の幼い少女と出会う。スレイマンは名前も分からない少女にアイラと名前をつけて、基地で保護する。親子のような関係になるスレイマンとアイラだが、戦争によって2人は引き裂かれてしまう。

本作は実話を基にしている作品で、あらすじだけでも泣いてしまいそうだ。2017年のアジアワールド映画祭で観客賞を受賞しており、国際的な評価も高い作品である。


Dedemin İnsanları(原題)

©Ay Yapim

『Dedemin İnsanları』は2011年に制作されたヒューマンドラマ映画だ。タイトルを翻訳すると「私の祖父の人々」という意味になる。

クレタ島に生まれて、7歳の頃に移民としてトルコにやってきたおじいちゃん。彼は手紙の入った瓶をエーゲ海に流し続けていた。おじいちゃんの願いは、死ぬ前にもう一度故郷のクレタ島を見ることだった……。

物語の背景にあるのは、「1923年のギリシャとトルコの住民交換」だ。トルコ独立戦争後、トルコのギリシャ正教徒と、ギリシャのムスリムを強制的に交換するという取り決めが2国間でなされた。両国で計200万人にも上る人々が国を追われるという大規模なもので、一種の民族浄化とも言える。

本作はそんな史実を基にした感動的な作品で、とても泣ける映画らしい。

泥棒はスーパーマン

©Besiktas Kültür Merkezi

『泥棒はスーパーマン』(原題:Organize İşler)は2005年に制作されたコメディ映画だ。そして、2019年に続編が制作されNetflixで公開されている。

主人公であるサメットは落ちぶれたスーパーマンの物まね芸人で、自殺寸前にまで追い詰められていた。ギャングのアシムは、誤ってサメットを仲間として引き入れる。一方、アシム率いるギャングに盗難車を掴まされた女性は、ギャングに復讐を誓う……。

かなり笑える映画だそうだが、「トルコジョークが日本人に理解できないかもしれないから心配」と言われながらおすすめされた作品だ。トルコジョークがどんなものか、是非鑑賞して確かめていただきたい。

☆Netflixで視聴可能(2020年2月現在)

G.O.R.A.(原題)

©Besiktas Kültür Merkezi

この癖の強いポスターは、2004年に制作されたトルコ初のSFコメディ映画である『G.O.R.A.』のものだ。ポスターが面白すぎて、友人が本作の画像を送ってくれた時、図書館に居たにもかかわらず吹き出してしまった。

主人公のアリフは絨毯売りの男だ。彼はUFOの捏造写真を出版社に売りつけようとしたり、観光客にいい加減なガイドをするなど、中々胡散臭い。

ある日、彼の店に来たエイリアンに誘拐され、G.O.R.A.という惑星に囚われてしまう……。

本作は『スター・ウォーズ』『マトリックス』『フィフス・エレメント』等のパロディや、下ネタ満載の内容だ。独特なB級映画なので好みが別れるかもしれないが、ソーセージのなる木や、終盤のマトリックスパロディには笑わされた。

そして2008年には『A.R.O.G』、2018年には『Arif V 216』(2018)と、2本の続編も制作されている。B級映画好きは是非チェックしていただきたい。

☆Netflixで視聴可能(2020年2月現在)

さて、今回はトルコ映画を紹介してみた。歴史的な事件や史実を基にしたストーリーの作品に名作が多いようだ。そして、コメディ作品は癖の強さが半端じゃない。

ヨーロッパとアジアが交じり合うトルコ、イスタンブールに一度は訪れてみたいものだ。トルコ旅行へ行く前に、映画で歴史を学ぶのも良いかもしれない。

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