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2019年ベスト「〇〇マン」映画

2019/12/31

【ネタばれ無】

今年も様々な「マン映画」が公開された。

一部の映画好きの方々はマン映画の何たるかをご存知だろうが、念の為説明しておくとタイトルに「マン」を含んだ映画のことだ。分かりやすい例だと『スーパーマン』なんかがマン映画にあたる。

※もちろん「ウーマン」も含む。マン映画に性別の壁はない。

なんだくだらない、と思うなかれ。実は2019年は、例年よりもマン映画が豊作だったのだ。私が目視で確認しただけでも、今年は16本ものマン映画が公開されている。

2018年に公開されたマン映画が10本弱だったことを考えると、前年比50%以上の伸び率である。これはすごい。

マン映画の豊作を祝い、今回は2019年に公開されたマン映画の中でも選りすぐりの「ベスト・マン映画」を紹介したいと思う。

最初のマン映画

© 2018 Universal Studios and Storyteller Distribution Co. LLC

『ファースト・マン』日本では2019年2月に公開されたマン映画だ。その名の通り、2019年のマン映画を語る上で最初に紹介しなくてはならない。

本作は「地球は青かった」の言葉で知られる宇宙飛行士ニール・アームストロングを物語の軸に据えている。

アームストロングが月を踏みしめた最初の人間(ファースト・マン)になるまでの軌跡を追った静かな雰囲気ながら、宇宙に行かなくてはならない狂気じみた執着に畏怖の念を抱かずにはいられない作品だ。

『ファースト・マン』の描写で何よりも見事だったのは、ロケット搭乗の恐怖だ。SF映画では絶対に見られないような「不完全な宇宙船」はまるでブリキ缶のような作りで、一度エンジンが始動するとロケット全体が不気味な悲鳴を上げる。

映画を観ているだけで、いつ爆発してもおかしくない宇宙船に一緒に乗っているような緊張感を味わうことができるのだ。この恐怖を経験すれば、宇宙飛行士に最大級の敬意を抱かずにはいられない。

年始からパンチの効いたマン映画をブチ込んでくるあたり、2019年のマン映画は本当に油断ならないぞ。

ロケットなマン映画

© 2018 Paramount Pictures.

ロケット絡みで忘れてはいけないのが『ロケットマン』だ。本作はイギリスのシンガーソングライターであるエルトン・ジョンの伝記映画で、日本では2019年8月に公開された。

エルトン・ジョン役を務めるのはタロン・エガートンだ。彼は『キングスマン』『キングスマン:ゴールデン・サークル』と名作マン映画の出演経験があり、ロケットなマン映画を任せるには最も適した俳優だ。

なんならエルトン・ジョン自身も本人役で『キングスマン:ゴールデン・サークル』に出演していたくらいだから、もうマン映画のエキスパートしかいない作品である。

最早マン映画としてこの上ない環境のなか、エガートンはエルトン・ジョンのロケットばりに勢いのある人生を哀愁を持って演じ、さらには本物のエルトンに認められた歌声も披露した。

歌が上手い俳優は数あれど、エルトンの複雑な心境を歌声に乗せて表現できるマンはエガートンくらいなものだろう。彼の歌声を聞くだけでも、本作を観る価値はある。

日本ではエルトン・ジョンの知名度が比較的低いためかあまり話題にならなかったが、2019年のベスト・マン映画としては絶対に外せない作品だ。

蜘蛛のマン映画

© 2018 SONY PICTURES ENTERTAINMENT INC.

もう見出しの時点でお気づきの方も多いだろう。そう、2019年は蜘蛛マン映画が2本も公開されたのだ。

3月には『スパイダーマン:スパイダーバース』が、6月には『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が公開され、もうマン映画ファンだけでなくアメコミファンも大歓喜の1年であったことは間違いない。

しかもその2作品がとびっきり面白かったのだから、最早文句なんて出やしない。

『スパイダーバース』は独特なアニメーションだけでなく、"異世界転生もの" 要素を含みつつも王道な物語を美しくまとめ上げたし、『ファー・フロム・ホーム』は『アベンジャーズ/エンドゲーム』後の世界に生きる1人のティーンエイジャーの覚悟を魅力的な悪役と共に描いた。

両作品に物語的な繋がりは一切無いものの、「少年の成長」が物語のキーワードになっており、先に挙げたマン映画とは趣を異にしている。マンの映画ではなく、マンになる映画なのだ。

危険な香りがするマン映画

© Netflix

最後に紹介するマン映画はNetflixオリジナルの『アイリッシュマン』だ。恥ずかしながら私は未見ではあるものの、何がどうあっても名作に違いないので本記事に記しておきたい。

巨匠マーティン・スコセッシと名優ロバート・デニーロがタッグを組んだマフィア映画というだけでもう名作の予感しかしないし、さらにマフィアものが十八番のアル・パチーノ(『ゴッド・ファーザー』など)とジョー・ペシ(『グッドフェローズ』など)まで出演しているとあっては、どう転んでも面白い。

ジョー・ペシは日本では『ホーム・アローン』の間抜けな強盗のイメージが強いが、実は怖いオジサンを演じる方が得意なのだ。なんなら怖い役でアカデミー賞だって獲っている。あのドジっ子強盗のオジサンが、だ。

Netflix映画にしては上映時間が210分と長めだし、実際に上映時間の長さを理由に否定的な意見も出ているらしい。だからどうした。マン映画だぞ。ちょっと長いくらい何だって言うんだ。

絶対に外さないこと山の如しなマン映画なんて、そうそう無い。年末年始の暇な時間に、マン映画の総括として鑑賞してみてはどうだろう。私ならそうする。

選外佳作なマン映画

© 2019 Paramount Pictures.

後出しで申し訳ないが、マン映画には2種類しかない。

ベスト・マン映画と、選外佳作なマン映画だ。そう、クソなマン映画など存在しないのである。ということで、残念ながら選外佳作に留まってしまった作品を記しておこう。

日本で公開されたもの

『ロマンティックじゃない?』(よく見れば "マン" が入っている。文句は言わせない)
『ジェミニマン
メン・イン・ブラック:インターナショナル』(複数形になってもマン映画だ)
『判事オリヴァー・ストレート ~全米に裁かれた男~』(原題:American Hangman
『ジュマンジ/ネクスト・レベル』

日本未公開のもの(英語は邦題未定)

※制作は2019年だが日本では2020年に公開予定のものも含む。

『イップ・マン 完結』
『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』
『Gentlemen
『The Professor and the Madman
『The Tomorrow Man
『The Last Black Man in San Francisco』
『A Good Woman Is Hard to Find』

まとめ

『ファースト・マン』が2018年に制作され、日本での公開が2019年にずれ込んだように、2019年に制作されたものの日本公開が2020年に予定されている作品も多い。

数年ぶりに豊作だった(と思う)2019年のマン映画を長く楽しめると考えれば、これ以上嬉しいことはない。

2020年にも既に『The Invisible Man』『Promising Young Woman』『Wonder Woman 1984』などの公開が決まっており、マン映画の勢いが加速することが予想される。世界的な情勢を反映してか、「ウーマン」を含む作品が多くなりそうな見込みだ。

読者の皆さんも、「こんなマン映画が公開されるらしい」と聞き及んだ際には是非お知らせ頂きたい。

それでは皆さん、良いお年を!

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そうた

編集を担当。ホラー映画やサスペンス映画など、暗めの映画が好き。『ジャーヘッド』を愛しすぎてHD DVDまで買ったものの、再生機器は未購入。山に籠って薪を割る生活を夢見ている。

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