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マッチョと宇宙の親和性の未来を『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』に見出した

2018/12/30

© 2017 Disney/Marvel

【ネタばれ無】

個性的な俳優・女優がそろった『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(以下、GotG2)の中でも、シルベスター・スタローンの名はひときわ異彩を放っている。

何と言っても彼は『ランボー』や『ロッキー』シリーズで長年活躍し続けてきた所謂 “硬派” なアクション俳優だ。生身の体を武器にしてアクション映画の最前線を走り続けてきた彼とCGを多用したスーパーヒーロー映画は、水と油の関係と言っても過言ではない。

「果たしてスタローンが、宇宙を舞台にしたアメコミの世界に溶け込めるのだろうか」とミスキャストを疑ってみたくもなるが、本作を鑑賞した方はきっと度肝を抜かれるだろう。というのも、スタローン氏は一切の違和感なく宇宙海賊団の幹部として登場するからだ。

出演者リストでは違和感を隠し切れなかった彼が、どうしてこうも映画に馴染んで登場するのか――。その疑問を解くカギは、彼の「マッチョ」っぷりと「宇宙」という舞台設定の親和性にあると筆者は考える。

宇宙は美しく残酷である

スタローンがどうして宇宙でも違和感なく活躍できるか、という疑問を解決するためにも、まずは「そもそも宇宙に適応できるのはどのような生物か」を考えてみよう。

宇宙には数え切れないほどの星が散らばっており、冒険者たちは好奇心の赴くままに、終わりのない冒険を続けることができる。

ただし、「冒険」ができるということは、そもそも普通の人間が立ち入ることができない厳しい環境であるということの裏返しでもある。比較的身近なところで例を挙げると、密林や高山、深海などが似たような性質を持っている。

© 2018 Warner Bros. Ent.

もちろん、宇宙の過酷さは、深海などとは比べ物にならない。『ゼロ・グラビティ』において、宇宙がどのような環境か端的に示している言葉があったので、ここに引用しよう。

――音を伝えてくれる物質は何も無い。気圧も無ければ、酸素すらない。宇宙空間で生物が生き永らえることなど、あり得ない。

『ゼロ・グラビティ』より

普通の生命が生き延びることすらできない環境に適応できるのは、果たしてどのような生物なのだろう。それはおそらく、宇宙という環境の過酷さなどには屈しない強靭な肉体を有している者――つまり、マッチョではないだろうか。

様々な映画で証明されている筋肉の力

自然の脅威に立ち向かえるのは、筋肉だけ。

そう聞くと、一昔前のアメリカンな考えのように思われるかもしれない。しかし、筋骨隆々であるからこそ「宇宙」という舞台でも違和感なく活躍できるという例を、私たちはいくつも見てきたはずだ。

例えば、1990年に公開された『トータル・リコール』では、アーノルド・シュワルツェネッガー扮する主人公が火星に向かうことになる。

マッチョの代名詞とも言える彼は、火星降りたってもなお肩で風を切って歩き、悪人どもに鉄拳制裁を加えていた。

© TriStar Pictures

また、『GotG2』でグルートの声を担当しているヴィン・ディーゼルは、『ワイルドスピード』シリーズで主演を務めるマッチョだ。

彼も2000年の『ピッチブラック』を始めとする『リディック』シリーズで、宇宙を股にかける凶悪な犯罪者を演じている。彼の格好を見て「こういう宇宙海賊いそう」と思ってしまうのは、やはり凛々しい筋肉に包まれた肉体があってこそだろう。

そもそも、『GotG』の1作目だって、「ポッチャリ馬鹿」キャラで人気を博していたクリス・プラットが「マッチョ馬鹿」になって登場したことで話題となっていたではないか。

他にも、『ジュピター』のチャニング・テイタムや『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワース、『マン・オブ・スティール』のヘンリー・カヴィル、『フィフス・エレメント』のブルース・ウィリス(マッチョとは少し違うかもしれないが、タフなことに変わりはない)など、例を挙げればキリがない。

子供向けのアニメ『リロ・アンド・スティッチ』のスティッチですら、マッチョな生命体として描かれている。

これらの例から分かるように、「宇宙で活躍する」という人間離れした偉業に説得力を持たせる為に欠かせないのが、「マッチョ」という要素なのだ。

だからこそ、『GotG2』にスタローンが登場したことに対して、私たちは違和感を抱かないのだろう。

なぜなら彼は、私たちでは生き延びることすらできない環境であっても、きっと活躍してくれるだろうということを、己が肉体で証明しているからだ。

スクリーン上で躍動する筋肉こそ、「宇宙」という過酷な環境を生き延びる神聖な力の象徴というわけだ。

『スターウォーズ』シリーズはどうなのよ

筆者の持論であるマッチョと宇宙の親和性を語ると、反例として『スター・ウォーズ』シリーズが挙げられることは想像に難くない。

もちろん筆者は、「マッチョなら宇宙にいても違和感が無い」と言っているだけで、「マッチョでなければ宇宙で活躍できない」と極論を展開しているわけではない。であるからして、非マッチョが銀河を股にかけて活躍していても、それを批判するつもりは毛頭ない。

だが予め反論させてもらうと、『スター・ウォーズ』の登場人物は――特に、物語の鍵を握るのは――フォースを使うではないか。言わずもがな、フォースとは日本語に直訳すれば “力” だ。

そして私のようなマッチョ論者からすると、力とは筋肉だ。するとどうだろう、フォース=筋肉という等式が成り立つではないか。

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つまり、『スター・ウォーズ』の人々だって、物理的な意味ではマッチョでは無いにしろ、マッチョネス(マッチョさ)を内に秘めているということになる。やはり彼らも、過酷な環境に耐え得る強靭な存在なのだ。

というわけで、やはり私が掲げる「マッチョ」と「宇宙」の親和性は、あながち的外れではなさそうだ。今後も宇宙を舞台にした映画が公開された暁には、私の仮説が真であるかを見極めるためにも、劇場に足を運びたいと思う。

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そうた

編集を担当。ホラー映画やサスペンス映画など、暗めの映画が好き。『ジャーヘッド』を愛しすぎてHD DVDまで買ったものの、再生機器は未購入。山に籠って薪を割る生活を夢見ている。

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