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お洒落なコメディミステリ映画 『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

2019/12/10

©Lionsgate

【ネタばれ無】

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の監督で知られるライアン・ジョンソンが監督、脚本を務めたミステリ映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(原題:Knives Out)が、2019年11月27日からアメリカで公開された。

トロント国際映画祭での評価も高く、2019年のナショナル・ボード・オブ・レビュー賞では今年のトップ10に選出されている注目作だ。

ダニエル・クレイグが主演で、クリス・エヴァンスやリストファー・プラマー等の豪華キャストが脇を固める本作は全米で初登場2位という大ヒットを記録している。

日本では2020年1月31日(金)から公開される本作を、カナダで一足先に鑑賞した私が紹介しよう。

あらすじ

推理小説家ハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)が、85歳の誕生日パーティーの翌朝、喉をナイフで引き裂かれて死んでいた。

当初は自殺かと思われていたが、何者かに呼ばれた探偵ブノア・ブラン(ダニエル・クレイグ)が現れて他殺を疑い調査を開始する。調査を進める際、ブランはハーランの看護師であったマルタ(アナ・デ・アルマス)を助手に選ぶ。

ハーランの死の真相は、そしてハーランの莫大な遺産の行方は……。

お洒落なキャスト陣

©Lionsgate

本作の主演を務めるのは、007シリーズのジェームズ・ボンド役で有名なダニエル・クレイグだ。凛々しいスーツ姿で、腰に負担がかかりまくった姿勢で足を組む姿があまりにもセクシーだ。手元のコインを弄び不敵な笑みを浮かべる名探偵という役柄だが、本編では意外とお茶目というギャップを見せてくれる。

助演を務めるのは、MCUシリーズでキャプテン・アメリカを演じたクリス・エヴァンスを始め、『トゥルーライズ』でシュワちゃんの妻を演じたジェイミー・リー・カーティス、傑作ホラー映画『ヘレディタリー/継承』のトニ・コレット、名優クリストファー・プラマー等、豪華すぎるキャストが名を連ねている。

クラシックなミステリーの雰囲気を際立たせるのは、豪華キャスト達のお洒落な衣装だ。クリス・エヴァンスの白いセーターは予告編の時点でアメリカで話題になっていた。

彼だけでなく、スロンビー家の人々のファッションセンスは抜群。モダンなコートやマフラー、上品なニットの着こなしは秋冬のファッションの参考にしたい。

コメディ要素強めなミステリ

©Lionsgate

ミステリ映画の楽しみ方は、主に2種類に分類されるだろう。物語の流れに身を任せて探偵の名推理を心待ちにする人。もう1つが探偵と一緒に、或いは探偵よりも先に真実を暴こうと推理をする人だ。

どちらの楽しみ方も個人の好みであり、大概のミステリ映画はどちらのスタイルでも楽しむことができるように作られている。しかし、本作に関しては小難しいミステリはどちらかというと苦手、という方でも楽しめる作品だ。

本作の予告編からはあまり想像できないかもしれないが、ミステリとしての面白さだけでなく、とてもコメディ要素が強めに作られている。

腹黒く、とにかくあくが強いスロンビー家の面々や、人間臭さが堪らない警官。そして探偵のブランはクールに見えてテンションが高く、かなり笑わせてくれる。相変わらずセクシーでかっこいいダニエル・クレイグが弾ける姿に注目していただきたい。

伏線を見逃すな

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コメディ要素が強めで笑いどころが多い本作だが、古典的ミステリとしての骨子はしっかりとしている。つまり、しっかりと推理のためのヒントが提示されているのだ。

ミステリーとして推理する際に重要なのは、遺体発見時の状況や事件前の出来事、そして容疑者達の供述に細心の注意を払うことだ。本作は最初から随所に伏線が散りばめられており、見逃してしまいがちな部分や些細な一言に重要な推理ポイントが隠されている。

複雑に絡み合う事件で、簡単には真実に辿り着くことはできない。しかし、推理小説好きなら作中のヒントだけで真実を解き明かすことができるかもしれない。そんな絶妙な難易度の作品なので、ミステリファンはじっくりと推理をしながら楽しんでみよう

まとめ

ライアン・ジョンソン監督はアガサ・クリスティの推理小説を意識して本作を制作しているので、古典的なミステリを楽しむことができる作品に仕上がっている。そう言うと硬派なミステリを想像してしまうかもしれないが、大いに笑えるコメディ要素にも満足でる作品だ。

推理シーンは、駆け抜けるようなテンポの良い伏線回収で、スクリーンの中のダニエル・クレイグに釣られて観客のテンションも上がっていく。特にラストシーンがとても秀逸で、ここまで計算をして伏線を張り巡らせていたのかと驚嘆した。

語りたい要素はまだまだあるのだが、ネタばれをしてしまったら楽しみが薄れてしまう作品なので、ここまでにしておこう。日本で公開された際には、推理をするためのヒントを見逃さないように、名探偵ブノア・ブランと共に事件に挑んでいただきたい。

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