【エピソード8までのネタばれ有】
予告編が公開されただけでファンが泣いて喜ぶ。そんな映画フランチャイズがこの世にいくつあるだろうか。
2019年4月12日(金)に予告編が公開された「スターウォーズ」シリーズの最新作 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』 (原題:Star Wars: The Rise of Skywalker)は、シリーズのファンが待ちに待った特報だった。
シリーズの再出発として、旧3部作(エピソード4~6)の構成を踏襲し期待と共に多くのファンに受け入れられた7 作目『スター・ウォーズ:フォースの覚醒』。
そして、シリーズの伝統をことごとく打ち壊して賛否がキッパリと別れた8作目『スター・ウォーズ:最後のジェダイ』。
これら7作目、8作目が作り出した流れを汲みつつ、全9作品の集大成となる 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』 はどのような物語を紡ぐのだろう。
たった2分程の予告編は、既に様々な議論と推測の種となっている。
今回は『Star Wars: The Rise of Skywalker』の予告編で注目したいポイントと、ファンの間で飛び交っている推測をいくつか紹介していこう。
ナレーションはルーク・スカイウォーカー
前作『最後のジェダイ』にてこの世を去ったルーク・スカイウォーカーだが、今回公開された予告編のナレーターを務めるのはルークを演じていたマーク・ハミルだ。
死したはずのルークの声を聞くことができるということは、ルークが復活する展開が考えられる。
ファンの間ではよく「スター・ウォーズでは誰も死なない」と言われている。その説を裏付けるように、ルーク自身も今回の予告編で「誰も本当に死んだりしない」と発言した。ルーク復活の可能性もゼロではない。
しかし、シリーズファンなら、旧3部作のオビ=ワン・ケノービのような在り方を想像するのではなかろうか。つまり、幽体(英語では俗にForce Ghostと呼ばれている)としての復活だ。
オビ=ワンの他、アナキンやヨーダも死後にも登場していることから、幽体としてルークが再登場する可能性は高いだろう。
砂漠から始まったスター・ウォーズ
「スター・ウォーズ」の物語といえば、砂漠が重要な舞台となっている。
スター・ウォーズの物語が始まったルークの故郷は砂漠の星「タトゥイーン」だった。そして、レイの物語が始まったのも砂漠の星「ジャクー」だった。
エピソード9の予告編でレイが華麗なアクロバットを見せたのも砂漠。そして、ポー・ダメロンたちが追いかけられていたのも砂漠だ。これら2シーンは同じ場所、少なくとも同じ惑星で繰り広げられていると推測される。
ではこの星は、タトゥイーンなのか、それともジャクーなのか? それとも他の惑星なのか?
現状、どの可能性も十分に考えられるが、往年のシリーズファンとしては全てが始まったタトゥイーンであって欲しいと思う気持ちが少なからずある。
映画9本分の物語が、始まりの土地で終わる……と期待するのは、少し求めすぎだろうか。
カイロ・レン、反省せず?
『フォースの覚醒』からずっと「いつダークサイドから抜け出すのか」と議論されていたカイロ・レン。『最後のジェダイ』では父ハン・ソロ殺害に起因する葛藤が大きなテーマとなっていた。
前作でファースト・オーダー(ダークサイド)の人間として進む決断をしたことは記憶に新しいが、「でも帰って来るんでしょ?」と思っているファンも多かろう。
予告編ではストーム・トゥルーパーと肩を並べて戦っている姿が見られたため、カイロ・レンがダークサイド側の人間であることは変わりがないようだ。前作で破壊した例のマスクを修復するシーンまで存在する。
また、レイを追いかけていたタイ・インターセプターもカイロ・レンが操縦しているものと予想するファンが多い。
操縦者の手袋はカイロ・レンの物のように見える上に、機体自体も『最後のジェダイ』でカイロ・レンが操縦していた物に酷似しているからだ。
彼がダークサイドから抜け出すまで、やはりまだまだ時間がかかりそうだ。
おかえり、キャリー・フィッシャー
『最後のジェダイ』の撮影終了後に逝去したレイア役のキャリー・フィッシャー。最新作で彼女をどう登場させるのか、はたまた全く登場しないのかは、ファンたちが様々な憶測を飛び交わせていた。
予告編でレイアとレイが抱き合うシーンが紹介されている。レイアの再登場に涙したのは、私だけではないはずだ。
最新作の監督(そして『フォースの覚醒』の監督でもあった)J・J・エイブラムスによると、本作で出てくるレイアはCGによる再現ではないそうだ。
CGで彼女を蘇らせるという発想はそもそも選択肢として挙げられてすらいなかったという。
同監督は、『フォースの覚醒』で撮影したものの本編では使用しなかったシーンを用い、その映像を中心に物語を書いたと述べている。
予告編で私たちが観たレイアは、見た目も声も演技も、何もかも本物というわけだ。
この映像が本編でどのような意味を持つシーンなのか、本作を語る上で避けては通れない話題となるだろう。
どのスカイウォーカー?
本作の副題『スカイウォーカーの夜明け』は原題では "The Rise of Skywalker" で、直訳するならば「スカイウォーカーが立ち上がる」「スカイウォーカーの反乱」といった意味だ。
だが、アナキンもルークも死に、レイアも上記の理由から恐らく多くのシーンでは登場するわけではなさそうだ。
スカイウォーカーの血を受け継いでいるのはカイロ・レンだが、本名はベン・ソロなのでスカイウォーカーの名も継ぐとは想像し難い。
残る可能性は主人公のレイだが、前作で「特別な血筋の子ではない」ということが明かされている。考えられるのは、その設定をひっくり返し「レイが実はスカイウォーカーの血を引いていた」とするか、「スカイウォーカーであるために血筋は必要ない」という展開に持って行くかだろうか。
前者の説もあり得そうだが、それでは前作の意味がなくなってしまう。後者は一応、根拠のある説だ。というのも、旧3部作の最後の作品は『ジェダイの帰還』、新3部作(1~3)の最後は『シスの逆襲』と、フォースを持つ者が属する両サイド(ジェダイとシス)の名がつけられている。
つまり、今作の「スカイウォーカー」も “称号” や “団体” を指す可能性があるというわけだ。
前作の「誰もがフォースを持つ可能性がある」というメッセージを鑑みると、この説もあながち間違いではなさそうだ。
公開前も十分楽しめる
語りだしたらキリが無さそうだが、今作についてファンの間で議論が巻き起こっているのは以上の点だ。
他にも紹介したい点がいくつかあるが、あまりにも長くなりそうなので最後に箇条書きで記しておこうと思う。
「映画は公開される前も楽しい」と誰かが言っていたが、「スター・ウォーズ」シリーズはまさにこういった推測や議論も楽しみの一環だ。
予告編を見て何か新たな説を思い付いた方は、Twitterなどで私に話しかけていただけると嬉しい限りだ。
その他ポイント
新たなドロイドの登場
D.O.という名前のドロイドが登場予定。BB-8とのコンビは、かつてのR2-D2とC-3POの並びを想起させる。
ランド・カルジリアン再登場
旧3部作の最後、ミレニアムファルコンに乗って活躍したランドが再登場。しかも、またミレニアムファルコンを操縦している。操縦副操縦士はチューバッカ。『ハン・ソロ』で、ミレニアムファルコンが元々ランドの物だったことが明らかになった、という点も覚えておきたい。
メダルを持っているのは誰?
『新たな希望』でハン・ソロが授けられたメダルと恐らく同じもの。メダルを持っているのはレイアの手だろうか。
デススター再来?
墜落したデススターのような物が見られる。『新たな希望』のオリジナル版か、『ジェダイの帰還』の改良(改悪?)版か、それともその後にいつの間にか作られていた者なのか……。
パルパティーンも戻ってくる
予告編では「誰も本当に居なくなったりはしない」という希望に満ち溢れたルークのメッセージで締められているが、その直後にパルパティーン(シリーズを通しての敵の親玉)の笑い声が聞こえる。本当に戻ってくるのか、幽体なのか、上記デススターでホログラムを見つけただけなのか……いずれにせよ、物語の鍵を握る存在であることは間違いない。