コラム

少年みたいなオカンの「トランスフォーマー」シリーズの感想をまとめてみた

2019/03/21

© 2007 DreamWorks LLC and Paramount Pictures

【微ネタばれ有】

実家に帰る度に、60歳になるオカンから聞かれることがある。

「今度の『トランスフォーマー』はいつやんの?」

私がまだ生まれていない頃は梅田の丸ビルでオシャレなOLをしていたらしいオカンは、かつて映画館に足しげく通っていた時期があるらしい。

その頃は若い女性の方が試写会に当たりやすかったらしく、OLの肩書を存分に活かしてタダ見をしていたそうだ。

今ではテレビっ子になってしまい、すっかり映画館には行かなくなってしまったオカンだが、そんなオカンの心を鷲掴みにしたのが「トランスフォーマー」シリーズだった。

© 2007 DreamWorks LLC and Paramount Pictures

マイケル・ベイ監督の大味な作風(ベイヘムとも言う)が高濃度に配合された当シリーズは、過去に5作品が公開されており、2019年3月22日(金)にはスピンオフ作品『バンブルビー』も公開される。

もちろんオカンは『バンブルビー』を観たがっているのだが、今回は「トランスフォーマー」シリーズのストーリーをおさらいしながら、少年のような感性を持ったオカンの鑑賞当時の感想をそれぞれご紹介していこう。

『トランスフォーマー』

© 2007 DreamWorks LLC and Paramount Pictures

「機械がガチャガチャするのが最高」と、シリーズ初の作品はオカンにも高評価だった。

そもそも我が家には昔からトランスフォーマーやゾイドといったロボロボした玩具が多く、トランスフォーマーのアニメもオカンと一緒に観ていたくらいだ。「トランスフォーマー」という名前が琴線に触れないわけがなかった。

1作目の『トランスフォーマー』が公開された時は実家暮らしだったので、両親と私の3人で劇場に鑑賞しに行ったのだが、おそらくオカンが一番映画を楽しんでいた。

「ぶっちゃけずっと変身シーンでも良かった」とも漏らしていたことから、オカンがいかにトランスフォーマー狂か分かるだろう。

その狂信のためか、「トランスフォーマーの新作が出たら家族で観に行くのを佐島家の伝統にしたい」とも言い始めた。

ただ、冒険活劇狂のオトンはそれに猛反対。かくして、「トランスフォーマーを一緒に観に行く」というのは、私とオカンだけの慣習となる。

『トランスフォーマー:リベンジ』

© 2009 DW Studios L.L.C. and Paramount Pictures

さて、晴れて母と私の恒例行事と化した本シリーズの鑑賞だが、この作品ほど慣習を確たるものにする名作はないだろう。我が母をして「一番面白かった」と言わしめるシリーズ屈指のワクワク度を誇る作品だ。

前作よりもキャラは増え、ベイヘム(主に爆発)濃度も増し、舞台も壮大になった。そして何より母の少年のような感性をくすぐったのは “合体” だ。

オートボット(良いもんのトランスフォーマー)のリーダーであるオプティマスが、ここぞという場面で味方を分解して己が装備とするのである。

読み違えたかな? と思う方もいるかもしれないが、本当に味方(しかも老いたトランスフォーマー)を1体分解して強化装備に改造するのである。

© 2009 DW Studios L.L.C. and Paramount Pictures

損得勘定ばかりしている大阪のオバチャンな私の母も、さすがに「これは可哀想ちゃう?」と悲しそうな顔をしていた。だが、悲しい犠牲があるからこそ物語に深みが出るというものだ。

「良い犠牲やってんけど、最後オプティマスが装備全部捨てたやん? あれはさすがにアカンと思うわ」

そう語る母に、私は「大丈夫。続編で戻ってくるとか、何かしら救済策はあるはず」と適当に取り繕った。

マイケル・ベイ先生の次回作にこうご期待、だ。

『トランスフォーマー:ダークサイド・ムーン』

© 2011 Paramount Pictures

はい、捨てられた人は戻って来ませんでした。

あまりにも無情な展開に困惑していたのは、私だけだった。そう、オカンは「彼が出て来たかどうか」などという細かいことは気にしていなかったのだ。オカンそんなに厳しかったっけ?

ちなみにオカンが覚えていたのは、「シカゴがめっちゃ爆発してた」ということだけだ。シカゴに住んでいる私の友人の名を出し「あの子、大丈夫なんかな?」と冗談めかして心配する様子は、さすがみんなのオカンといったところか。

オカン的には、オプティマスとメガトロン(前作、前々作での宿敵)が共闘するという展開もかなり気に入ったらしい。

ただ、オカンの評価が低いのは、共闘が終わった瞬間にオプティマスがメガトロンの喉を貫いて殺したからだ。完全な不意打ちである。

「もうどっちが悪もんか分からんな」と悲しそうに劇場を後にしたオカン。だが、こうした善悪の境界線が曖昧になる奥深い物語こそ、ベイヘムの醍醐味なのだ。

『トランスフォーマー:ロスト・エイジ』

© 2014 Paramount Pictures

奥深いとか言った手前お恥ずかしいのだが、本作でメガトロンは生き返る。しかもめっちゃ強くなって。なんだよ奥深さって。

そして、本作はさすがのオカンも怒り心頭だった。というのも、「トランスフォーム(変身)」シーンのガチャガチャしたアナログ感が良かったのに、「一度無数のキューブになってから別の姿に組みあがる」というデジタルな演出が増えてしまったのだ。

「そういうのちゃうねん!」と、もはや恒例行事を今回で打ち切る勢いだったが、それでもオカンの心をつなぎ止めたのは “恐竜” だった。

© 2014 Paramount Pictures

恐竜といっても、いにしえより眠っていた恐竜型トランスフォーマーだ。いや、変身はしないので、オカンの言葉を借りて「メカ恐竜」とでも言おうか。変身しないことに不満を抱きつつも、T-REX型のメカ恐竜の手綱を握るオプティマスの姿にはオカンも惚れ直したようだ。

ただ一点。これが敵に渡ると世界が破滅する、というアイテムがシリーズを通していつも出てくるので、遂にオカンも「もう何が大事なんかよう分からん」と言い始めた。

これはマズいぞ。

『トランスフォーマー:ラスト・ナイト』

© 2017 Paramount Pictures

すみません。オカンとスケジュールが合わず、未だに観れていません。

実家に帰る度にBlu-rayを借りようとはするのだが、何かと多忙な母とはなかなか時間が合わないのだ。

唯一の救いは、『バンブルビー』がシリーズの前日譚だということだ。一作を観逃したからといって、『バンブルビー』が楽しめなくなるわけではない。

噂によると、『バンブルビー』はもはや「トランスフォーマー」シリーズを無かったことにすらしているとも聞く。

あれ、今回オカンの感想まとめた意味なくない?

あわせて読みたい

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

そうた

編集を担当。ホラー映画やサスペンス映画など、暗めの映画が好き。『ジャーヘッド』を愛しすぎてHD DVDまで買ったものの、再生機器は未購入。山に籠って薪を割る生活を夢見ている。

-コラム
-, , ,

Copyright© Sabot House , 2024 All Rights Reserved.