【ネタばれ無】
もしもこの世からビートルズか消えてしまったら……。
そんなテーマで描かれた音楽コメディ映画『イエスタデイ』(原題:Yesterday)が2019年6月28日(金)にイギリスで公開された。日本では2019年10月11日(金)から公開予定となっている。
20世紀を代表するバンドであり、「ローリング・ストーンズ誌が選ぶ最も偉大なアーティスト」では堂々の第1位に輝くビートルズを扱ったIFの世界を描く本作は、ビートルズへのラブレターだと監督のダニー・ボイルが語っている。
世界中の音楽に影響を与え続けているビートルズが存在しなかった世界をテーマにするという興味深い本作を、一足先に鑑賞した筆者が紹介しよう。
あらすじ

イギリスの片田舎に住むミュージシャンのジャック(ヒメーシュ・パテル)は、幼馴染のエリー(リリー・ジェームズ)に支えられながらも全く売れず、ミュージシャンとしての夢を諦めかけていた。
ある日、世界規模の大停電が起きる。その時、ジャックは交通事故に巻き込まれる。ジャックが目を覚ますと、この世からビートルズか存在しないことになっていた。この世で唯一ビートルズの曲を知るジャックは、ビートルズの曲を歌って有名になっていく……。
注目の制作陣
本作のメガホンを取ったのは、『トレインスポッティング』や『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督だ。スピード感やスタイリッシュさが特徴の監督で、本作もテンポよくストーリーが進んで楽しませてくれる。
脚本を担当するのは、『ラブアクチュアリー』や『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』で監督、脚本を務めた、リチャード・カーティス。 “素敵” と呼ぶに相応しい、名作ラブコメを数々世に送り出してきた彼のコメディセンスが光る。
そして、この作品の根幹であるビートルズも制作陣の一員であるといえるだろう。ビートルズ愛に溢れた本作は、ビートルズのメロディによって彩られている。
ビートルズのメロディ

最も成功したグループアーティストとしてギネスブックに記録されているビートルズの偉大さについては、今更私が語ることも無いだろう。
ヒメーシュ・パテル演じるジャックの美声に乗せてビートルズの様々な楽曲が披露され、彼らのシンプルで美しいメロディの偉大さを再認識させられる。
楽曲の素晴らしさゆえに、ビートルズのメロディでジャックがスターダムにのし上がっていく物語には説得力が増す。ビートルズの曲をあまり知らない世代の方がこの作品を観ても、充分に楽しめるだろう。
超有名ミュージシャン、まさかの本人役

本作では、世界的に人気なシンガー、エド・シーランが本人役で登場している。そもそもこの作品の主人公のストーリーは、エド・シーランをモデルにしている。
作中では世界的な成功を収めた彼のかっこいいイメージだけではなく、彼自身もいじられたりと、なかなかネタが満載で笑える役回りをしている。
また、人気司会者のジェームズ・コーデンも本人役で登場している。彼がホストを務める「The Late Late Show」にジャックが招かれるのだ。作中では彼のポスターも飾られていたりする。
現実のスター達が本人役として出演することで、 “ビートルズがいない世界” に現実味をもたせる演出となっている。
可愛すぎるリリー・ジェームズ

本作のヒロインのエリー役を演じるリリー・ジェイムズは、安定の可愛さで作品に花を添える。『シンデレラ』でシンデレラを演じた、まさにシンデレラ女優である彼女は本当に可愛い。
彼女と幼馴染というだけでも羨まし過ぎるのに、ジャックは売れていない頃から彼女に献身的に支えられ続けているのだ。
『ベイビー・ドライバー』のデボラ役から彼女に注目している私としては、なかなか前に踏み出せない関係の2人にやきもきしてしまう。リリー・ジェームズが相手なら、もっと頑張れよ、と。
本作はビートルズを題材としたIFストーリーのコメディ作品であると同時に、ジャックとエリーのラブストーリーとしても楽しむことができる。本作が日本の劇場で公開された際には、デートムービーとしてもおすすめしたい。
まとめ
ダニー・ボイル監督と、リチャード・カーティスが脚本としてタッグを組んだ本作。安定して名作を生み出してきた2人で、全世代が楽しめる作品に仕上がっている。
長編映画で初の主演を務めるヒメーシュ・パテルの美声も印象的で、ビートルズを覚えていたのが彼で良かったと私は感じた。
ビートルズファンはもちろん、ビートルズの楽曲をあまり知らない方でも楽しめる本作を鑑賞した後は、きっとビートルズを聴きたくて堪らなくなるだろう。
その時に、あなたはまず楽曲を選ぶだろうか。間違いなく、人によってそれぞれ大きく異なる。表題曲の「イエスタデイ」だけではなく、多くの曲が印象深く奏でられているからだ。
ちなみに、私の場合は「オブラディオブラダ」を聴きながら帰路についた。