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ドリームワークス最新作の主役はイエティ アニメーション映画『Abominable』

2019/09/24

© 2019 - Dreamworks/Pearl Studio

【ネタばれ無】

海外の有名なCGアニメーションスタジオと言えば、ディズニーやピクサー、イルミネーション、そしてドリームワークスが代表的だ。その中でも、ドリームワークスにこんなイメージを持っている方が多いのではないだろうか。

「CG綺麗で面白いけど、キャラクターが可愛くない」

そんなドリームワークスの新作アニメーション『Abominable(原題)』が2019年9月27日(金)からアメリカで公開される。日本公開は2020年6月20日(土)の予定だ。

本作の主役はイエティ、そう雪男だ。そして、タイトルが『Abominable』ときた。あまり一般的な英単語ではないので、この点については後で解説しよう。

またあまり可愛くないキャラクターの映画なのかと心配しながら、『シュレック』シリーズのファンである私は久々にドリームワークスのアニメーション映画を堪能することにした。

2019年9月8日(日)にTIFF(トロント国際映画祭)でアメリカ公開に先立って鑑賞した私が、どこよりも早く本作を紹介しよう。

あらすじ

秘密の研究所を逃げ出したイエティは、追っ手から逃れて上海のアパートの屋上に隠れた。追っ手から逃れる際に負った怪我を癒していたイエティは、家族と上手くいっていない少女イーと出会う。イーはイエティにエベレストと名付け、彼を故郷のエベレストに帰す冒険へと出る……。

ドリームワークスのアニメについて

© 1998 Dreamworks SKG

ドリームワークスは、スティーヴン・スピルバーグ監督、ディズニー出身のジェフリー・カッツェンバーグ、レコード会社経営のデヴィッド・ゲフィンによって設立された。これまで実写を含め様々な映画を制作してきたが、多くのCGアニメーション作品をヒットさせてきたスタジオでもある。

1998年に公開された『アンツ』がドリームワークス最初のCGアニメーション映画だ。正直キャラクターのデザインが可愛くない。

その後同スタジオにて制作された『シュレック』や『マダガスカル』、『カンフーパンダ』等、印象深いキャラクターが登場する作品は日本でも有名だが、キャラクターの可愛さはディズニーに劣っていると言わざるを得ないだろう。

今作の主役であるイエティも、一見するとあまり可愛いとは言い難い。それに加え、少し不安なタイトルを付けられているのだ。

原題 “Abominable” の意味

Photo by wakame

本作の原題である “Abominable” という英単語の意味をご存じだろうか。この単語は「忌まわしい」や「不快な」という意味の形容詞だ。忌まわしいイエティの映画となると、ホラーな印象を受けてしまうのは私だけではないだろう。

そういえば、私の好きな『シュレック』は醜いオーガが主人公であり、シュレックという名前はドイツ語の “Schreck” 「恐怖」が由来となっている。

ということは『Abominable』も、見た目ではなく内面を見ることの大切さを教えてくれた『シュレック』と同じようなテーマだろうか。

そんな私の考えは全くの的外れだった。

イエティ可愛い

© 2019 - Dreamworks/Pearl Studio

イエティとは雪男のことで、ヒマラヤ山脈に住んでいるといわれるUMA(未確認動物)だ。イエティは体長が1.5m~4.5mほどの類人猿だと言われている。顔以外は全身毛で覆われており、二足歩行の足跡が目撃されている。

今作の主役であるイエティのエベレストは、丸っこいシルエットで真っ白な毛で覆われている。映画鑑賞後の質問コーナーで監督が語っていたのだが、本作で描くイエティを「着ぐるみを来た男性」のようなものにはしたくなかったそうだ。

イエティのモデルは様々な要素が加わっているが、大きくて毛がふわふわした犬をイメージしてデザインされた。仕草も人間ではなく動物的な動きを意識している。

犬にもゴリラにも見える絶妙なデザインで、仕草が可愛らしい。イエティが動き回る映像を見ていただければ、画像ではわかりにくい可愛さが伝わるだろう。受け口なところもグッドだ。

音楽と映像美

© 2019 - Dreamworks/Pearl Studio

やはりドリームワークスのアニメーションは映像が美しい。本作の始まりの地である上海をイメージした街並みは、実際に上海に拠点を置くスタジオと協力して描かれている。そのため、上海のアニメーターも認めるかなりリアルな街並みが再現されている。

また、本作の見どころの1つはヒロイン、イーの奏でるバイオリンだ。ストーリーにも重要な役割を持っている彼女のバイオリンだが、その音色に原色が強めの色彩と光がよくマッチしていて素敵な映像体験を味わうことができる。

また、本作のイエティは魔法も使えるのだ。イエティが使う幻想的な魔法のシーンは是非映画館で鑑賞していただきたい。

まとめ

キャラクターの造形、タイトルの不穏さと余計な心配をしていたが、蓋を開けてみると非常に可愛らしく楽しい作品だった。

ただ、日本で公開される際には、間違いなく原題とは別の邦題を付けられるだろう。『カンフー・パンダ』に倣って『マジカル・イエティ』になるのではないかと勝手に予測しておこう。

子ども向けのアニメーションは、子どもは楽しめても親世代が退屈してしまうものもある。本作は大人も楽しめるストーリーになっており、むしろラストシーンは大人の方が感動するのではないだろうか。親子で鑑賞することをおすすめしたい作品だ。

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