駄文

育児予備軍が『ライオン・キング』から学んだ子育てのイロハ

2019/08/28

© 2019 Disney Enterprises, Inc.

【ネタばれ有】

自分が親になると物の見方が変わる、とはよく言ったものだ。

私はまだ誰の親にもなったことはないが、婚約者と将来の子育てのことを話す機会が増えてきた。そのせいか、映画や小説などに登場する親子に心なしか敏感になっている気がする。

その些細な変化は、2019年8月9日(金)に公開された『ライオン・キング』を鑑賞したときに最も如実に顕現した。なにせ、誰もが知る親子の物語だ。彼らの関係に目が行かないわけがない。

そして育児予備軍の一員である私は、リメイク版『ライオン・キング』の鑑賞を通して様々なことを学んだ……気がする。

今回はその学びを、全国の育児予備軍の方々に向けて届けたいと思う。本当に子育ての参考になるかどうかは知らない。

子供の好奇心をナメない

© 2019 Disney Enterprises, Inc.

まずこの映画を声を高らかにして言いたいのは、「子供の好奇心を甘く見てはいけない」ということだ。

シンバが象の墓場に行った場面を思い出して欲しい。シンバの父ムファサはシンバに「あの暗い所に行ってはいけない」と伝えていたのだから、育児的観点で彼に非は無いように思える。

否、彼は子供の好奇心を煽るような物言いをしたという点において重大な落ち度があるのだ。シンバの性格を考えると、やるなと言われたらやるし、行くなと言われたら行くことなど目に見えているではないか。

ムファサは「なぜ行ってはいけないのか」をはっきりと伝えるべきではなかったか。「あそこにはお前よりも体が大きいハイエナという動物が沢山いて、子供だけで行ったら食われて死ぬぞ」と説明してあげていれば、シンバの好奇心が暴走することも無かっただろう。

何も子供の好奇心を殺せとは言わない。ただ、子供の好奇心が大人の想像する以上に旺盛であることを常に頭に入れ、好奇心が暴走しないように気を配ることが大事ということだろう。

ヤバい親戚には会わせない

© 2019 Disney Enterprises, Inc.

先に論じた場面に通ずる話だが、象の墓場のことを "うっかり" シンバに教えてしまった輩の存在を忘れてはいけない。そう、スカーだ。

ムファサの立場からこの状況を整理してみよう。彼には愛する妻と子供がいる。そして同じ家(?)には、明らかに自分への恨みを抱いている無職の弟も住んでいる。

いや整理する必要も無い。どう考えてもスカーを追い出すべきだろう。

もちろん自分の弟なのだから、情けをかけたくなる気持ちも十分に理解できる。だがスカーの存在が息子に悪影響を与えることは明白ではないか。無職なだけならまだしも、自分のことも嫌っているんだぞ。

子供は親を選べないなんて言葉はあるが、どの親戚と会わせるかは両親の裁量に委ねられている部分が多い。子供がのびのびと育つ環境を整えられるかどうかは、両親の手にかかっている……ということだと思う。

説教後は仲直りする

© 2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

さて、ほとんどムファサのせいな気もするが、無断で象の墓場に行ったシンバはキツくお灸を据えられることになる。

問題なのは、説教の次の日に「お父さんめっちゃ怒ってた」とシンバがションボリしていたことだ。心に隙間が生じたシンバはスカーの悪魔の囁きに耳を傾け、結果として父親が命を落としてしまうのだ。

ここでひとつ、私の母親の説教について思い出したことがある。

私もかつては馬鹿なことばかりする子供で、週に3回は母に怒られていた。だが母は怒った1時間後には必ず「仲直り」をしてくれたので、説教が大喧嘩や仲違いに発展することは無かった。

今になって気づいたのだが、私の母親は子供の心に負担をかけないように説教をしていたのだ。

もし母がすぐに仲直りしてくれていなかったら、私もスカーのような輩に悪影響を受けていたかもしれない。幸い、私に無職の叔父はいないのだが。

『ライオン・キング』を観せる

© 2019 Disney Enterprises, Inc.

『ライオン・キング』を通して育児にまつわる学びを得た私ではあるが、言うは易く行うは難しである。

子持ちの友人の中には「子育てはガチャ」などと不敬な発言をしていた者も居るが、要は思い通りに事が運ぶわけではないのだ。

だがひとつ言えることがある。とりあえず『ライオン・キング』を子供に観せておけば良いということだ。

今回私が学んだことを見出す神童なんてそうは居ないだろうが、子供心に「あ、ヤバい場所ってあるんだな」とか「親戚にも変な人っているんだな」とか、何かしら感じてくれるはずだ。

普通の映画なら説教臭くなりがちなメッセージも、本物にしか見えない動物が表現することで子供に受け入れられやすい気もする。

今から、いつか授かるであろう子供と一緒に本作を観るのが楽しみである。

あわせて読みたい

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

そうた

編集を担当。ホラー映画やサスペンス映画など、暗めの映画が好き。『ジャーヘッド』を愛しすぎてHD DVDまで買ったものの、再生機器は未購入。山に籠って薪を割る生活を夢見ている。

-駄文
-, , , , , , ,

Copyright© Sabot House , 2024 All Rights Reserved.